【保存版】物理療法 機器 選び方|凍結肩・腰痛・肉離れに対する「プロの臨床判断」マトリクス【連載⑤完】

物理療法機器の選び方をテーマにしたアイキャッチ画像。治療家が臨床推論を用いて、超音波・マイクロ波・ラジオ波の中から最適な治療法を選択している未来的なコンセプト図。 柔整・鍼灸・ATその他専門的観点の記事
【連載完結】超音波・マイクロ波・ラジオ波。プロは「脳」で選ぶ。臨床判断の決定版記事です。

こんにちは、柔道整復師の治療家Zです。

物理療法機器の深掘り連載、ついに最終回です。

これまでの連載で、私たちは3つの武器を手に入れました。

  1. 超音波(US): 深部・局所の硬さを狙い撃つ「スナイパー」
  2. ラジオ波(RF): 深部・広範囲を温め自律神経も整える「面ヒーター」
  3. マイクロ波(MW): 筋腹の水分を一気に温める「電子レンジ」

第一回〜第四回目の記事はこちら ↓タブで操作してくださいね。

  • Tab 1
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  • Tab 4

しかし、武器を持っているだけでは意味がありません。

「戦場(病態)」に合わせて、最適な武器を選ぶ「戦術眼(臨床判断)」こそが、プロフェッショナルの価値です。

最終回は、明日からの臨床で迷わないための、症例別物理療法 機器 選び方の決定版マトリクスを公開します。


臨床判断の核となる「3つの質問」

どの機器を使うか迷った時、私は必ず自分自身に以下の3つの質問を投げかけます。

この答えが出れば、自ずと正解の機器が決まります。

  1. ターゲットの「深度」は?
    • 浅い(皮下〜2cm):MW、US(3MHz)、RF(CET)
    • 深い(3cm〜):US(1MHz)、RF(RET)
  2. ターゲットの「組織」は?
    • コラーゲン豊富で硬い(腱・関節包):US
    • 水分豊富で柔らかい(筋腹・血管):MW、RF(CET)
    • 抵抗が高い(骨・深層筋):RF(RET)
  3. 目的は「緩める(可動域)」か「流す(循環)」か?
    • 局所を緩めたい(構造変化):US
    • 全体を流したい(循環改善):RF、MW

これを踏まえて、具体的な3つの症例(Case Study)を見ていきましょう。


物理療法 機器 選び方のフローチャート。ターゲット深度と組織タイプ(硬い・柔らかい)から、超音波・ラジオ波・マイクロ波のどれを選択すべきかを判断するための決定木。
【保存版】迷ったらここに戻ってください。病態(深さ・組織)から逆算して最適な機器を選ぶための意思決定プロセス図です。

Case 1:凍結肩(拘縮期)で夜間痛が引いた後の可動域制限

【病態】

炎症期は過ぎているが、関節包(特に後下方)が肥厚・線維化し、コラーゲン配列が乱れてガチガチに固まっている状態。いわゆる「拘縮」です。

【プロの臨床判断】

  • 第一選択:超音波(US)
  • 設定: 1MHz / 100%(連続波) / 1.5W/cm²

【解説】

ここで物理療法 機器 選び方を間違えて、漫然と電気を流したりマイクロ波を当てたりしても、深部の関節包はビクともしません。

硬くなったコラーゲン線維(関節包)を物理的に「再構築」できる温度(40℃〜45℃)まで上げられるのは、超音波だけです。

ポジショニングで関節包を伸張させながら照射し、直後のストレッチウィンドウで可動域を広げます。

ポイント:

ラジオ波(RET)も深部加温は可能ですが、超音波の持つ「機械的振動(ミクロマッサージ)」による組織の柔軟性向上効果には及びません。ここは「スナイパー」の出番です。


Case 2:慢性腰痛(長時間のデスクワークによる多裂筋性)

【病態】

運動不足と同一姿勢により、深層の多裂筋や最長筋が虚血(酸欠)状態。

広い範囲で筋緊張が高く、交感神経が優位になり、痛みに対して過敏になっている。

【プロの臨床判断】

  • 第一選択:ラジオ波(RF)
  • 設定: RETモード(深部加温)+CETモード(表層流し)

【解説】

このケースでの物理療法 機器 選び方の正解は、広範囲を「立体的(Volume)」に温めることです。

超音波では範囲が狭すぎて時間がかかりすぎます。

マイクロ波では深層の多裂筋まで熱が届きにくい場合があります。

ラジオ波(RETモード)で深層筋の血流を一気に改善し、発痛物質を洗い流します。

さらに脊柱エリアを温めることで副交感神経を刺激し、患者さんを「リラックスモード」へ導けるのも大きなメリットです。

収益化のヒント:

このアプローチは「腰痛治療」だけでなく、「自律神経調整コース」「深部体温向上コース」として、高単価な自費メニュー化が可能です。


Case 3:ハムストリングス肉離れ後の「瘢痕組織」と「周囲の張り」

【病態】

受傷後3週間経過。患部の一部にコリコリとした硬い「瘢痕(しこり)」が残り、その周りの筋肉も防御性収縮で張っている。

【プロの臨床判断】

  • 第一選択:ハイブリッド(超音波 + マイクロ波 or ラジオ波)

【解説】

ここは応用編です。

病態が「硬い点(瘢痕)」と「広い面(筋緊張)」の2つ混在しています。

したがって、物理療法 機器 選び方も2段階になります。

  1. 全体(面):マイクロ波(MW)まず、リスク管理(金属確認・汗拭き)をした上で、マイクロ波でハムストリングス全体をプレヒートします。水分を含んだ筋腹を一気に緩めます。
  2. 局所(点):超音波(US)全体が緩んだ後、残った硬い瘢痕組織に対して、超音波(1MHz/100%)をピンポイント照射し、組織の柔軟性を出します。

このように、それぞれの機器の「得意分野」を組み合わせることで、治療期間を劇的に短縮できます。

【根拠となる文献:物理療法の意思決定】


決定版!物理療法マトリクス図解

これまでの内容を、一目で分かる表(マトリクス)にまとめました。

院の壁に貼って、スタッフ教育にもお使いください。

目的 \ ターゲットコラーゲン組織(腱・靭帯・関節包)水分が多い組織(筋腹・大きな筋肉)抵抗が高い組織(深層筋・骨・脂肪)
局所を緩める
(拘縮・瘢痕)
◎ 超音波 (US)
100%連続波
△ ラジオ波 (CET)
※範囲が広がる
○ ラジオ波 (RET)
※深部は届く
広範囲を流す
(循環・スパズム)
△ 超音波
※範囲が狭すぎる
◎ マイクロ波 (MW)
or ラジオ波 (CET)
◎ ラジオ波 (RET)
立体加温に最適
急性期の修復
(非熱効果)
◎ 超音波 (LIPUS)
骨折・靭帯損傷
× マイクロ波
禁忌
◎ ラジオ波
非熱モード

この表が頭に入っていれば、物理療法 機器 選び方で迷うことはなくなります。


物理療法機器(超音波・ラジオ波・マイクロ波)の適応マトリクス表。目的とターゲット組織ごとの相性(◎○△×)を一覧化した比較表。
【決定版】各機器の得意・不得意が一目で分かるマトリクス表。院内掲示やスタッフ教育にもご活用ください。

【法務視点】「なぜこの機械なのか?」の説明義務

最後に行政書士(学習中)の視点から、リスクマネジメントの話で締めくくります。

患者さんへのインフォームド・コンセントにおいて、最も重要なのは「納得感」です。

ただ黙って機械を当てるのと、

「〇〇さんの今の痛みは、深い場所の関節包が硬くなっているのが原因です。だから、一番奥まで届く超音波を使いますね」

と説明してから当てるのとでは、治療効果(プラセボ効果含む)も、患者さんとの信頼関係も段違いです。

もし万が一、熱傷などのトラブルが起きた際も、「なぜその機器を選択したのか」という医学的根拠をカルテに残し、説明していた事実は、あなた自身を守る最大の防御壁となります。


最後に:機械に使われるな、使いこなせ

全5回の連載、最後までお読みいただきありがとうございました。

物理療法機器は、日進月歩で進化しています。

しかし、どんなに高価なハイスペックマシンも、使う人間の「知識」と「判断」がなければ、ただの箱です。

  • 物理学を知る(メカニズム)
  • 解剖学を知る(ターゲット)
  • 法務を知る(リスク管理)

この3つを掛け合わせた時、あなたの物理療法は「とりあえずの電気」から、「治すための強力な医療行為」へと進化します。

この連載が、先生方の臨床の一助となり、多くの患者さんの痛みが救われることを願っています。

それでは、また次のテーマでお会いしましょう!

治療家Z

この記事を書いた人

臨床20年の柔道整復師 × 法律家(学習中)|身体と暮らしを守る専門家

はじめまして、治療家Zと申します。 柔道整復師(国家資格)として開業し、十数年。これまでの20年間で延べ6万人以上(①ヶ月300人程なので、合っていると思います)の患者様の治療に携わってきました。

現場で多くの「痛み」と向き合う中で痛感したのは、「正しい医療知識」と「生活を守る法律知識」の両方がなければ、本当の意味で患者様の不安を取り除くことはできないということです。

そのため、臨床の傍ら法務の学習も進め、2025年には宅地建物取引士試験に合格。現在は2026年の行政書士試験合格を目指し、日々研鑽を積んでいます。

このブログでは、単なる健康情報の発信にとどまらず、解剖学・生理学等に基づいた「確かな医療知識」と、薬機法や関連法規を遵守した「信頼できる情報」を、柔整と法務のダブル視点からお届けします。

【当ブログの3つの使命】

情報の透明性: 根拠(エビデンス)に基づいた、安全な予防法・対処法のみを発信する。

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技術と心の継承: 次世代の治療家へ、臨床技術とコンプライアンス精神を伝える。

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