
このブログを読むことで得られる主なメリットは以下の5点です:
① 術後リハビリの効果的アプローチ
人工股関節置換術(THA)後の階段昇降や歩行能力改善など、18年の臨床経験に基づく具体的なモビリティトレーニング手法を学べます。
② スポーツ障害の解決策
足関節捻挫後の回復促進法(ベーシックサークルエクササイズ)や股関節可動域改善ワーク(90-90ヒップリフト)など、アスリート向け実践テクニックが明示されています。
③ 日常動作の質的向上
デスクワークによる肩甲骨周りの可動性低下を改善する「スカプラローテーション」など、生活に直結するエクササイズを習得可能です。
④ 科学的根拠に基づく理論体系
重力利用・3次元運動連鎖・筋膜連鎖理論など、国際的な研究論文(Fritz et al. 2011、Treacy et al. 2022)と臨床データを統合した理論的基盤が理解できます。
⑤ 長期的な健康維持戦略
急性期から維持期までの段階的プログラム設計や認知機能向上に関する最新知見(2023年Esmonde-White研究)を通じ、加齢に伴う身体機能低下の予防策を構築できます。
こんにちは、柔道整復師の治療家Zです。
私は18年間、臨床で経験を積みながら治療に係る様々な事を研究してきました。
二人の子育てを経験しながら、今まで数多くのアスリートや一般の患者さんのリハビリや治療に携わってきました。
今回は、私の臨床経験とモビリティトレーニングの最新知見についてお伝えしたいと思います。
モビリティトレーニングとは何か?
モビリティとは、カラダをしなやかに伸び伸びと動かせる力のことです。
単なる柔軟性とは異なり、関節の可動性と安定性の両方を含む総合的な能力です。
モビリティトレーニングの基本原則
モビリティトレーニングには5つの重要な原則があります:
- 重力の効果的な利用
- 分離と協調の適切なバランス
- 運動連鎖の活用
- 3次元的な動きの統合
- 力の吸収と発揮の調整
臨床での効果
私の臨床経験では、特に人工股関節置換術(THA)後の患者さんにおいて、適切なモビリティトレーニングが著しい効果を示しています。
術後の患者さんは、階段の昇り降りや平面歩行において有意な改善を示すことが多いです。
実践的なアプローチ
モビリティ・ファーストの原則に従って、以下の順序でトレーニングを進めることをお勧めします:
- 血流促進のためのウォームアップ
- 関節可動域の確認
- モビリティエクササイズの実施
- 安定化エクササイズの追加
回復のメカニズム
股関節の例を見ると、球関節としての特性を活かし、大きくスムーズな動きを実現するためには、以下が重要です:
- モビリティエクササイズによる可動性の改善
- インナーマッスルエクササイズによる安定性の向上
注意点とリスク管理
私の18年の臨床経験から、以下の点に特に注意を払うことをお勧めします:
- 痛みの有無の確認
- 段階的な負荷の増加
- 適切な休息期間の確保
実践的なエクササイズの紹介
そういえば、先日当院に来られたバレー部の高校生の例が、とても印象的でした。
足関節の捻挫後、なかなか回復が進まなかったケースなんです。
足関節のモビリティ改善エクササイズ
ベーシックサークル
足関節を支点に、つま先で円を描くように動かします。
これが意外と効果的なんですね。最初は小さな円から始めて、徐々に大きくしていきます。
「複雑なエクササイズよりも、基本的な動きを確実に行うことが、より大きな効果を生み出す」
股関節のモビリティワーク
皆さん、実は股関節の可動域制限が腰痛の原因になっていることも多いんです。
私の臨床経験では、以下の動きが特に効果的でした:
90-90ヒップリフト
- 仰向けで膝を90度に曲げる
- 腰を浮かせながら、ゆっくりと片脚を伸ばす
- 10回×3セットを目安に行う
肩甲骨周りのモビリティ改善
知らない人も多いかもしれませんが、デスクワークの多い方に特におすすめなのが、肩甲骨の動きを改善するエクササイズです。
スカプラローテーション
動作のポイント | 注意点 | 期待される効果 |
---|---|---|
ゆっくりと回す | 痛みを避ける | 肩こり改善 |
大きく動かす | 呼吸を止めない | 可動域拡大 |
正確に行う | 反動を使わない | 筋バランス改善 |
リハビリテーションでの活用法
これが個人的に面白いと思うところですが、モビリティトレーニングは、リハビリテーションの各段階で異なる効果を発揮します。
急性期(発症後1-2週間)
- 炎症コントロール
- 関節可動域の維持
- 疼痛管理
回復期(2週間-3ヶ月)
- 可動域の拡大
- 筋力向上
- 協調性の改善
維持期(3ヶ月以降)
- パフォーマンスの向上
- 再発予防
- 身体機能の最適化
期待される効果
モビリティトレーニングを継続することで、以下の効果が期待できます:
- 運動神経の向上
- 肩こり・腰痛の改善
- スポーツパフォーマンスの向上
高橋尚子さんの言葉
「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」
は、モビリティトレーニングにも通じる真理を表しています。
最後に:モビリティトレーニングの未来と可能性
18年の臨床経験を通じて、モビリティトレーニングの重要性は年々高まっていると実感しています。
特に、デジタル化が進む現代社会において、運動不足や姿勢の悪化による身体機能の低下が深刻な問題となっています。
日常生活への取り入れ方
モビリティトレーニングは、特別な道具や場所を必要としない点が最大の魅力です。
朝のストレッチや通勤中の歩き方の意識付けなど、日常生活の中で少しずつ取り入れることができます。
継続のコツ
私の患者さんたちの成功例から、以下の3つが継続の秘訣だと考えています:
- 無理のない範囲から始める
- 毎日同じ時間に行う習慣をつける
- 小さな変化を実感し、記録する
今後の展望
最新の研究では、モビリティトレーニングが認知機能の向上にも効果があることが示唆されています。
加齢による機能低下の予防や、生活の質の向上において、ますます重要な役割を果たすことでしょう。
私たち医療従事者も、日々新しい知見を取り入れながら、より効果的なトレーニング方法の開発に取り組んでいます。
皆さんも、ぜひご自身の生活に合わせたモビリティトレーニングを始めてみてください。
必ず素晴らしい変化を実感していただけるはずです。
モビリティ運動は、アクティブリカバリーにも適応されます。ぜひこちらの記事も参考にしてください。
参考文献
以下は、ブログ記事の作成に使用した文献10件を分野別に分類して列記します:
海外文献(英語)
- Fritz, S. et al. (2011). “Feasibility of intensive mobility training to improve gait, balance, and mobility”
(神経学的障害患者に対する集中モビリティトレーニングの可能性) - Treacy, D. et al. (2022). “Mobility training for increasing mobility and functioning in older people”
(高齢者におけるモビリティトレーニングのシステマティックレビュー) - van der Woude, L.H.V. et al. (2021). “Rehabilitation: mobility, exercise & sports; a critical position stand”
(神経リハビリテーションにおける運動連鎖理論の統合的アプローチ) - Myers, T. (2020). Anatomy Trains: Myofascial Meridians for Manual and Movement Therapists
(筋膜連鎖と3次元運動パターンの理論的基盤 - Esmonde-White, M. (2023). The Miracle of Flexibility: A Head-to-Toe Program to Increase Strength
(アクティブストレッチとモビリティ改善の科学的アプローチ)
日本国内文献
- 松浦卓也(2023)「機能的な筋肉と可動域拡大を目指す8つのモビリティストレッチ」
(スポーツ選手向け関節可動性向上プログラム) - 日本スポーツ協会(2021)「コレクティブエクササイズがFunctional Movement Screenに及ぼす影響」
(機能的動作評価と運動連鎖の関連性) - 岩井卓也(2021)「モビリティ(可動性)トレーニングの効果的実践法」
(重力利用と3面運動の実践的解説)
書籍
- Broussal-Derval, A. & Ganneau, S. (2020). The Modern Art and Science of Mobility
(筋膜リリースとアクティブモビリティトレーニングの統合的アプローチ) - Clark, B. (2019). The Complete Guide to Yin Yoga
(関節可動域改善のための陰ヨガ理論と実践)