「You are what you eat」は嘘である
こんにちは、治療家Zです。
よく「あなたの体は、食べたものでできている(You are what you eat)」と言われますよね。
分子栄養学の視点から言わせてもらうと、これは不正確です。
正しくは、こうです。
「あなたの体は、吸収されたものでできている(You are what you absorb)」。
前回、鉄やタンパク質などの「材料」を入れようという話をしました。
しかし、もしあなたの腸が、目の細かい「フィルター」ではなく、穴だらけの「ザル」だったとしたら?
高級なサプリメントも、こだわりのオーガニック食材も、すべて素通りして排泄されるか、最悪の場合、「毒」として全身を巡ります。
連載第2回のテーマは、現代人の隠れた国民病「リーキーガット症候群(腸管壁浸漏)」。
なぜ、「パンと牛乳」があなたの脳を炎症させ、治らない痛みを作り出しているのか? その衝撃のメカニズムに迫ります。

腸のバリア崩壊:セキュリティゲートが開けっ放し
私たちの腸(小腸)の壁は、栄養素という「VIP客」だけを通して、細菌や毒素という「テロリスト」は通さない、非常に厳重なセキュリティゲートになっています。
このゲートを閉じているのが「タイトジャンクション」という結合組織です。
謎のタンパク質「ゾヌリン」
しかし、ある特定の刺激が加わると、「ゾヌリン」という物質が分泌され、このタイトジャンクションを「パッカーン!」と無理やりこじ開けてしまいます。
これがリーキーガット(漏れる腸)です。
ゲートが開くとどうなるか? 本来通ってはいけない「未消化のタンパク質」「細菌の死骸(LPS)」「重金属」などが、ドバドバと血管内に侵入します。
セキュリティ崩壊。非常事態宣言の発令です。
真犯人は「朝のパンと牛乳」かもしれない
では、何が「ゾヌリン」を分泌させ、ゲートをこじ開けるのか? 二大巨頭がこれです。
- グルテン(小麦): パン、パスタ、ラーメン、うどん
- カゼイン(乳製品): 牛乳、チーズ、ヨーグルト
「えっ、朝食の定番じゃん!」と思いましたか? そう、それが問題なのです。
小麦の進化と人間の限界
現代の小麦は、品種改良によってグルテン量が劇的に増えています。
私たちの消化酵素は、この強力なグルテンを分解しきれません。
未消化のグルテン(グリアジン)は、腸壁を刺激し、ゾヌリンを大量に放出させます。
カゼインの罠
カゼインも同様に腸を荒らしますが、さらに厄介なのが**「カゾモルフィン」**という物質に変化することです。
名前の通り「モルヒネ」に似た構造を持ち、脳に快感を与えます。
「パンとチーズがやめられない!」というのは、意思が弱いからではなく、脳が中毒(依存)を起こしているからです。
腸が燃えると、脳も燃える(腸脳相関)
「お腹が張るくらいなら我慢します」 いいえ、問題はお腹だけでは終わりません。
血管に漏れ出した毒素(異物)に対し、免疫システムが攻撃を開始します。
これが「慢性炎症」です。
炎症物質(サイトカイン)は血流に乗って全身を巡り、最終的に「脳」に到達します。
脳内炎症=ブレインフォグ
脳の中で炎症が起きると、以下の症状が出現します。
- ブレインフォグ: 頭に霧がかかったようにぼーっとする、集中できない。
- 抑うつ・不安感: セロトニン(9割が腸で作られる)が枯渇する。
- 痛覚過敏: 脳が興奮状態になり、痛みをより強く感じるようになる。
治療家として見過ごせないのは3つ目です。
「どこを触っても痛がる」「いくら緩めても緊張が取れない」 こういう患者さんは、筋肉が悪いのではなく、リーキーガットによって脳が「火事」になっている可能性が高いのです。
対策:2週間の「除去テスト」で白黒つける
では、どうすればいいのか?
いきなり高額な検査(遅延型アレルギー検査など)を受けるのも手ですが、もっと簡単で確実な方法があります。
「2週間だけ、小麦と乳製品を完全にやめてみる」
これだけです。
もし、グルテンやカゼインが原因であれば、2週間で劇的に体が軽くなります。
「朝起きるのが楽になった」「頭のモヤモヤが消えた」「長年の背中の痛みが消えた」…そんな奇跡のような報告が後を絶ちません。
腸を修復する「糊(のり)」を入れる
除去(マイナス)と同時に、傷ついた腸壁を修復する(プラス)アプローチも有効です。
- ボーンブロス(骨スープ): 天然のアミノ酸が腸粘膜の材料になる。
- グルタミン: 小腸のエネルギー源となるアミノ酸。
- プロバイオティクス(整腸剤): 善玉菌の援軍を送る。
まとめ:食事指導は「治療」である
- リーキーガット: 腸のバリアが壊れ、毒素が漏れ出している状態。
- 原因: グルテン(小麦)とカゼイン(乳製品)が主な引き金。
- 結果: 腸の炎症が脳に飛び火し、慢性痛やブレインフォグを引き起こす。
「パンをやめてください」と言うのは、患者さんにとって辛いことです。
しかし、「その痛みの原因は、毎朝のパンが腸に穴を開けているからかもしれません」と、メカニズム(理由)を説明できれば、患者さんは動いてくれます。
さて、材料(第1回)を入れ、穴(第2回)を塞ぎました。
これで栄養は細胞に届きます。
しかし、届いた栄養をエネルギー(ATP)に変えるためには、細胞内の「エンジン」が回っていなければなりません。
もし、そのエンジンが「砂糖漬け」で焦げ付いていたら?
次回、第3回は【代謝回路編】「ミトコンドリアを餓死させるな|糖化とビタミンB群の真実」をお届けします。
アンチエイジングの核心に迫ります。
お楽しみに!


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