個人院の限界をAIで突破せよ|Google Geminiと創る「施術にだけ集中する未来」【連載④・完】

Google Geminiを搭載したPCが事務作業を自動化し、治療家が施術に専念している近未来的な治療院のイメージ図。 柔整・鍼灸・ATその他専門的観点の記事
あなたは「治療」だけをしてください。残りの面倒事は、すべて彼(AI)がやります。

あなたは「治療家」ですか? それとも「高級な雑用係」ですか?

こんにちは、治療家Zです。

ついに、全4回にわたる連載シリーズ「治療家のための生存戦略2026」も、今回で最終回を迎えます。

ここまでお付き合いいただいた、勉強熱心で志の高い先生方に、心から感謝申し上げます。

第1回では「量子生物学」で細胞を充電し、 第2回では「ポリヴェーガル理論」で神経を制御し、 第3回では「法務知識」で院を守る盾を作りました。

どれも、これからの時代を生き抜くために不可欠な武器です。

しかし…ここで私は、ある「残酷な真実」を突きつけなければなりません。

先生、正直に答えてください。 「それ全部やる時間、どこにあるんですか?」

最新の物理療法を学び、エビデンスに基づいた説明を行い、完璧なカルテを書き、ブログで集客し、予約を管理し、経理をし、掃除をする…。

これらを全て「ワンオペ」あるいは「少人数のスタッフ」で回そうとしていませんか?

「もっと技術を磨きたいのに、事務作業に殺される」

「売上の天井が見えてしまった。これ以上患者さんを増やしたら、自分が壊れる」

そう、私たち個人院の治療家が直面する最大の敵。

それはライバル院でも、制度改正でもありません。

「時間と体力の物理的な限界」です。

もし先生が、まだ「自分の時間」を切り売りして事務作業をしているなら、今すぐその働き方を捨ててください。

2026年現在、私たちには「AI(人工知能)」という、人類史上最強の相棒がいます。

最終回のテーマは、私が実際に駆使している「Google Gemini(ジェミニ)」を使った、「一人なのにチームで働いているような」経営革命について。

これは、治療家が「治療家」として生き残るための、最後のピースです。


マインドセット変革:AIは「検索ツール」ではない。「超優秀な右腕」だ

まず、多くの先生が陥っている誤解を解いておきましょう。

「AI? ああ、Chatなんとかでしょ? 質問したら答えてくれるやつね」

もしそう思っているなら、非常にもったいない。

ガラケーで電話しかしていないのと同じです。

Googleの最新AI 「Gemini」 をはじめとする生成AIは、単なる検索ツールではありません。

言葉を理解し、推論し、創造し、分析する「デジタルな脳」です。

私は現在、月額数千円(Gemini Advancedの料金)のコストで、実質的に以下の「3人の専属スタッフ」を雇っているのと同じような環境を作っている自負があります。

  1. 法務・事務担当: カルテの整合性チェック、同意書のドラフト作成、メール返信。
  2. 広報・マーケティング担当: ブログ記事の執筆案の提案、SEO分析、画像生成、キャッチコピー考案。
  3. 経営コンサルタント: 患者データの傾向分析、離脱率の改善提案、新メニューの壁打ち相手。

これらを人間に頼めば、人件費だけで月50万円〜100万円はかかります。

教育コストも馬鹿になりません。

しかし、AIなら24時間365日、文句も言わずに、数秒で、しかも超高品質に仕事をこなしてくれます。

「AIに仕事を奪われる」と怖がる必要はありません。

「AIを使いこなす治療家」が、「AIを使わない治療家」を置き去りにするだけなのです。


実践①:音声入力 × AIで「鉄壁のカルテ」を自動生成する

第3回で、私は「カルテは自分を守る唯一の証拠だ」と書きました。

しかし、忙しい施術の合間に、詳細なSOAP(主観・客観・評価・計画)をキーボードで打ち込むのは、現実的に不可能です。

手が腱鞘炎になります。

そこで、AIと音声入力を組み合わせた「秒速カルテ作成術」を伝授します。

【ステップ1:音声でメモを残す】

施術直後、スマホの音声入力で、箇条書きのメモを残します。

文法なんて気にする必要はありません。

「えーと、50代男性の佐藤さん(仮)。今日は腰が痛いと。朝起きるのが辛いらしい。触診したらL4と5の間に圧痛あり。周辺の筋肉は硬い。インピーダンス高めの感触。いつものラジオ波を15分かけた。あ、そうそう、好転反応でダルくなるかもって説明して同意もらったよ。次は3日後に来てもらう。」

【ステップ2:Geminiに「呪文」を投げる】

この雑なメモを、Geminiに貼り付け、以下のプロンプト(指示)を投げます。

【プロンプト】 あなたは、法務知識に精通したプロの柔道整復師です。 以下の「施術メモ」をもとに、万が一の法的開示請求にも耐えられる、専門的かつ詳細な「SOAP形式の施術録」を作成してください。 特に、第3者が見ても「インフォームド・コンセント(説明と同意)」が適切に行われたことが分かるよう、リスク説明の内容を補足・整形してください。

[施術メモ] (さっきの音声入力テキストを貼り付け)

【ステップ3:魔法の結果を確認する】

すると、AIは一瞬で以下のような完璧な施術録を出力します。

【生成されたカルテ案】 S (Subjective): 腰部の疼痛を主訴に来院。特に起床時の動作痛および可動域制限を訴える(Morning Pain +)。

O (Objective):

  • 触診: L4/L5椎間関節レベルに著明な圧痛および多裂筋の筋スパズム(+)を確認。
  • 評価: 組織インピーダンスの上昇による循環不全および神経絞扼の疑い。

A (Assessment): 椎間関節性腰痛および深層筋の虚血性疼痛。慢性的な炎症による組織の線維化が推測される。物理療法による深部加温と筋緊張緩和が適応と判断。

P (Plan):

  • 処置: 高周波治療器(RETモード)による深部加温(15分)。
  • 指導: 施術に伴う一時的な倦怠感(好転反応)の可能性と、それが回復過程である旨を説明し、患者の理解と同意を得た上で実施。
  • 次回: 経過観察および継続治療のため、3日後に予約を取得。

いかがでしょうか? 私たちがやるのは、「内容を確認して、電子カルテにコピペする」だけ。

所要時間は1分以内。

これで、第3回で解説した「リーガル・ディフェンス」が、労力ゼロで完成します。

ここで気をつけて頂きたいのは、私達はあくまでも「手書き」の施術録しか効力が無いという点です。

電子カルテ化を推進しているのではなく、あくまでも日常の業務のプラスアルファとして取り入れたら、後が楽ですよということを言いたいのです。


実践②:ブログ執筆を自動化し、「高単価患者」だけを集める

「集客のためにブログを書かなきゃ」と思いつつ、半年放置していませんか? わかります。

施術が終わった後にパソコンに向かう気力なんて残りませんよね。

実は、この連載記事の構成や下書きも、Geminiと共同で執筆しています(ネタバラシ!)。

AIに「丸投げ」するとまだまだ人間味の無い文章になってしまいますが、「構成案」「下書き」を作らせるのは得意中の得意ですね、ほんとに便利です。

ターゲットを狙い撃ちにするプロンプト

例えば、自費診療(高単価)の患者さんを集めたい場合、こんな指示を出します。

【プロンプト】 私は自費診療専門の治療院を経営しています。 ターゲットは「30代〜40代の働き盛りのデスクワーカー」で、「整体に通ってもすぐ戻る」という悩みを持っています。 彼らに向けて、「なぜマッサージだけではダメで、細胞レベルの充電(ミトコンドリア活性)が必要なのか?」を解説するブログ記事の構成案を作ってください。

  • 条件: 専門用語を使いすぎず、親しみやすいトーンで。
  • SEO: 「慢性腰痛 原因」「根本治療」などのキーワードを盛り込んで。
  • ゴール: 最終的に「体験施術の予約」へ誘導する。

これだけで、Geminiは「タイトルの候補」「見出し構成」「各段落のポイント」をズラリと提案してくれます。

先生は、そこに「独自の臨床経験」「患者さんとのエピソード」を少し加えるだけ。

0から1を作るのは大変ですが、「4割完成したものを修正して10にする」のは驚くほど簡単です。 これで、専門性が高く、検索上位に表示される記事を量産でき、「先生の考えに共感した、質の高い患者さん」が勝手に集まるようになります。


実践③:経営コンサルとして「数字」を分析させる

さらに一歩進んだ使い方を紹介しましょう。 個人院のドンブリ勘定から脱却するためのデータ分析です。

毎月の売上データや、患者さんの来院頻度などのデータを(個人情報を伏せて)CSVファイルにし、Geminiに読み込ませます。

【プロンプト】 添付のデータは当院の過去1年間の来院データです。 これを分析して、以下の質問に答えてください。

  1. **「3回以内で来院が途絶えてしまう患者(離脱層)」**の共通点は何か?
  2. **「LTV(生涯顧客単価)が高い優良顧客」**が最初に受けたメニューは何か?
  3. 来月の売上を10%アップさせるための具体的な施策を3つ提案して。

AIは感情を持ちません。だからこそ、冷徹なまでに正確な分析をしてくれます。

「初回に『60分の施術』を受けた人は離脱率が高いですが、『ラジオ波コース』を受けた人は80%がリピートしています。

したがって、初回キャンペーンはラジオ波に絞るべきです」

…こんなアドバイス、並のコンサルタントよりよほど優秀だと思いませんか?


私たちの仕事は「人間にしかできないこと」に回帰する

ここまで、AIの凄さをお話ししてきました。 最後に、最も重要なことをお伝えします。

これだけAIが進化しても、絶対に代替できない領域があります。

それは、「High Touch(究極の人間力)」です。

  • 指先の感覚で、ミクロの組織変化やインピーダンスを感じ取る技術。
  • 患者さんの表情や声色から、言葉にならない不安を汲み取る共感力。
  • 温かい手で触れられることで生まれる、オキシトシン(安心ホルモン)の効果。
  • 「先生に会うと元気になる」と言われる、あなたの人間性そのもの

これらは、どれだけ科学が進歩しても、AIやロボットには不可能です。

私が提案したいのは、「High Tech(高度なAI)」を徹底的に使いこなすことで、雑務から解放され、余った全てのエネルギーを「High Touch(人間力)」に注ぎ込むというスタイルです。

事務作業で疲弊した顔で施術をするのと、 AIに全て任せて余裕を持ち、最高の笑顔と集中力で施術をするのと。

どちらが、患者さんにとって幸せでしょうか? 答えは明白です。


【連載終了のご挨拶:さあ、特異点へ】

全4回、長い旅にお付き合いいただきありがとうございました。

  1. 物理学(ミトコンドリア)で治す根拠を持ち、
  2. 神経科学(ポリヴェーガル)でシステムを制御し、
  3. 法務(リーガル・ディフェンス)で城壁を築き、
  4. AI(Gemini)で経営を自動化する。

これが、私が辿り着いた「治療家Z流・次世代クリニック」の全貌であり、これからの時代を勝ち抜くためのロードマップです。

「難しそう…」と尻込みする必要はありません。

まずは今日、Google Geminiを開いて、「ねえ、カルテの書き方を教えて」と話しかけることから始めてみてください。

その小さな一歩が、先生の治療家人生を劇的に変える「特異点(シンギュラリティ)」になります。

私は、先生の成功を確信しています。

なぜなら、ここまで読み切った先生には、すでに「変わる覚悟」があるからです。

それでは、またどこかの勉強会(あるいはデジタルの海)でお会いしましょう。

あなたの臨床が、もっと自由で、もっと強く、もっと輝くものになりますように!

治療家Z

この記事を書いた人

アラフォーおじさん
開業して十数年
20年の臨床経験を持つ柔道整復師が痛みの解決法をお伝えします。
はじめまして。柔道整復師の治療家Zです。20年間、様々な痛みや身体の不調に悩む患者さんの治療に携わってきました。この経験から、多くの方が適切な知識や治療法を知らないまま苦しんでいることに気づき、このブログを立ち上げました。

このブログでは、長年の臨床経験と最新の医学的知見を組み合わせ、皆様の痛みを解決するための情報をわかりやすくお伝えします。
目標は以下の3点です:
1. 痛みの予防法と対処法を広く伝える
2. 自己管理の重要性を啓蒙する
3.治療技術の継承
皆様の健康的な生活のために、私の知識と経験を最大限に活用していきます。
一緒に、痛みのない健康的な生活を目指しましょう!
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2025年に宅建士の試験に合格しました。
2026年は行政書士と取得するために勉強に励んでいます。
柔整と法務の両方の視点からブログ記事を書ければいいなと思います。
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