天気痛と自律神経の関係|雨の日の不調と気圧センサーの正体【連載②】

天気痛の原因となる内耳の気圧センサーと、低気圧の信号が脳に伝わり自律神経を刺激する仕組みの医学イラスト。 一般的な怪我、痛みに関する記事
【図解】耳の奥にある「内耳」が気圧の低下を感知し、その警告信号が脳(自律神経の中枢)へ送られて興奮している様子。

こんにちは、治療家Zです。

「脳と痛み」をテーマにした連載、第2回です。

  • 第1回: 長引く痛みの原因は、患部ではなく「脳の誤作動(中枢性感作)」にある。

前回は、脳が痛みを記憶してしまうメカニズムについてお話ししました。

では、一体なにが脳のシステムを狂わせてしまうのでしょうか?

その大きな要因の一つが、「天気痛」と深く関わる「自律神経」の乱れです。

「雨が降る前日は古傷が痛む」「台風が来ると頭痛がする」。

あなたも一度は経験があるかもしれません。

実はこれ、気のせいではなく「天気痛(気象病)」と呼ばれる医学的な症状であり、耳の奥にあるセンサーと自律神経が密接に関係しているのです。

第2回は、この「見えない不調」の正体を解き明かしていきます。


雨の日の不調「天気痛」とは?

昔から「古傷が痛むと雨が降る」と言われてきましたが、近年ではこれが「天気痛」や「気象病」として研究されています。

症状は頭痛、首・肩こり、めまい、だるさなど様々ですが、共通しているのは「自律神経」のバランスが崩れることで起きる「不定愁訴(ふていしゅうそ)」であるという点です。

愛知医科大学の佐藤純先生らの調査によると、天気の変化で体調を崩す人は日本に推計1000万人以上いるとも言われています。

参考リンク:天気痛ドクター(佐藤純先生の研究サイト)※ここをクリックして、天気痛の基礎知識を確認できます。


天気痛の犯人は内耳の気圧センサー

なぜ、空模様が変わるだけで体調が悪くなるのでしょうか?

その最大の要因は「気圧」です。

実は私たちの耳の奥、「内耳(ないじ)」という部分には、気圧の変化を感じ取るセンサーがあります。 天気痛持ちの人は、このセンサーが敏感になりすぎています。

台風などで気圧が下がると、内耳が「環境が激変した!」と過剰に反応し、その信号を脳へ送りすぎてしまうのです。

このメカニズムは、マウスを使った実験でも科学的に証明されています。

参考リンク(論文解説):気圧低下が内耳の前庭神経を興奮させることを発見(中京大学・愛知医科大学)


低気圧が内耳センサーを刺激し、交感神経(自律神経)を暴走させて体の痛みを引き起こす「天気痛のメカニズム」のフローチャート図。
【流れ図】気圧の変化が「痛み」に変わるまでの4段階。鍵を握るのは「3.交感神経(自律神経のアクセル)」の暴走です。

自律神経が暴走して痛みを引き起こす

ここからが重要です。内耳からの過剰な信号を受け取った脳は、どうなるのでしょうか?

身体を守るために、「自律神経」のスイッチを戦闘モード(交感神経優位)に切り替えてしまいます。

自律神経のアクセルが踏みっぱなしになると、身体には以下の変化が起きます。

  1. 血管の収縮: 自律神経が緊張すると血管が縮こまり、血流が悪化します。酸素不足になった古傷や筋肉が痛み出します。
  2. 痛みの過敏化: 神経が興奮状態になり、普段なら感じない程度の刺激も「激痛」として感じてしまいます。

つまり、天気痛の正体とは、「気圧センサーの誤作動によって自律神経が暴走し、全身がパニックを起こしている状態」なのです。

参考リンク(研究成果):気象関連痛の発症メカニズムと自律神経(科学研究費助成事業)


まとめ:天気痛対策は自律神経を整えること

今回のポイントをまとめます。

  • 天気痛は、内耳が気圧変化を感じ取ることで起こる。
  • その結果、自律神経(交感神経)が暴走し、痛みや不調が出る。

天気を変えることはできませんが、乱れやすい自律神経を整えることは可能です。

私たちが行う整体も、凝り固まった身体を緩めることで、この自律神経のバランスを正常に戻すお手伝いをしています。

次回は、もう一つの「痛みの増幅装置」である「ストレス」について解説します。

天気痛と同じくらい厄介な、「脳内物質」の話です。お楽しみに。

この記事を書いた人

臨床20年の柔道整復師 × 法律家(学習中)|身体と暮らしを守る専門家

はじめまして、治療家Zと申します。 柔道整復師(国家資格)として開業し、十数年。これまでの20年間で延べ6万人以上(①ヶ月300人程なので、合っていると思います)の患者様の治療に携わってきました。

現場で多くの「痛み」と向き合う中で痛感したのは、「正しい医療知識」と「生活を守る法律知識」の両方がなければ、本当の意味で患者様の不安を取り除くことはできないということです。

そのため、臨床の傍ら法務の学習も進め、2025年には宅地建物取引士試験に合格。現在は2026年の行政書士試験合格を目指し、日々研鑽を積んでいます。

このブログでは、単なる健康情報の発信にとどまらず、解剖学・生理学等に基づいた「確かな医療知識」と、薬機法や関連法規を遵守した「信頼できる情報」を、柔整と法務のダブル視点からお届けします。

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